この世界の片隅に
感動度★★★★★
ずっと気になってはいた作品。
一見、優しいタッチの絵とのんびりした口調のやりとりで、のほほんとした雰囲気。
それでありながら、戦争によって大切な人や物が失われていくことや、自分という人間が歪み変わってしまうこと、敗戦によって信じて頑張ってきたことが無意味になってしまうこと、、そんなことまでしっかり詰まっている。
戦争テーマの作品と言えば、重い雰囲気のものがやはり多かったと思うが、この作品は重いのに明るい。
物は無くなるし辛いことはどうしたって沢山あるけど、よく笑う。置かれた状況の中で楽しみや幸せを見つけている。
「泣いてばかりじゃ塩分がもったいない」って言葉は、当時ならではのなかなかの名言だと思った。
辛いことは胸にしまって前を向いてきたからこそ、復興があって今の豊かさがあるんだなと。その大事な心意気を忘れて弱くなってちゃいけないよなと思う。
周りの人と助け合って愛をもって接して、家族や好きな人といられる日常を幸せに感じて、たまに好きなことをしてその想いに浸る。
そういうことは当たり前で日常で退屈で、私には何にも特別なことがないんだーって思ってしまいがちだけど、毎日の幸せを感じられずにネガティブでいるのも、もったいないんだなと。
考えすぎてひねくれてひがむくらいなら、ただのんびりとした中で笑顔をつくれてる方がずっと幸せかもしれない。
やっぱり目の前の状況をどう思って見出すかで、起きた現象は変わらないけど、自分の気持ちや人生の楽しみ方は変えられる。